毛糸といっても色々な種類があります。
一般的に手芸店などで販売されている玉巻にされている糸以外にも、アパレル製品を生産するために使用する、芯に大量に巻き付けられたコーン巻き毛糸、いわゆる工業用毛糸もあります。
工業用毛糸は機械で編むのをスムーズにするために、蝋引き糸のように毛糸に油が塗られています。
その為編み上がり後に、縮絨(しゅくじゅう)という油落としの洗濯作業が必要になります。
多くの場合縮絨後はサイズが小さくなるので、本番を編む前に、スワッチという試し編みが必須です。
収縮率は毛糸によって違ってくるので、ゲージを取った後、それを縮絨して縦横それぞれどのくらい縮むのか確認してから編み図の目数や段数の修正が必要になります。
また、細めの工業用糸を複数引き揃えて編んだ場合も、素材によって収縮率が変わってくるので、縮絨後にそれぞれの糸に違和感がないか(収縮しないポリエステル素材の糸が浮いてしまうなど)確認して、違和感があれば面倒ですが収縮が激しい糸をあらかじめ縮絨してから引き揃えて編むなどの配慮が必要な場合もあります。
他にも単糸の場合、撚りのせいで斜行(メリヤス編みの編地が斜めに偏ってしまう)してしまうのを防ぐために逆撚りの糸を組み合わせて修正を試みなくてはなりません。
このように、工業用毛糸は素人にはハードルが高めの糸ですが、珍しい糸の一期一会の組み合わせに出会った時の驚きは格別のものがあります。
今後、お知らせで少しづつ取扱いのコツについてご説明していきますので、ぜひ小物からチャレンジ頂ければと思います。
